乳がん

乳がんのステージ別の症状と分類方法

看護婦のイラスト
看護婦のイラスト

乳がんの病期(ステージ)ごとの生存率でも少し書きましたが、乳がんには症状の進行具合に応じて病期というステージがあります。

乳がんと一言で言っても早期乳がんなのか、他の臓器に転移しているかなど進行度によって治療も変わってきますし、どの症状がどの段階なのかも非常に気になりますよね。

今回はその各病期ごとの症状を紹介したいと思います。

乳がんの病期の種類

まずは病期をどのように分類しているのか、その方法から紹介したいと思います。

TNM分類

TNM分類と言われる方法でその進行具合を分けるのですが、「TNM」は以下の3つの症状の頭文字をとって呼ばれています。これからの手術、治療方法をどのようにするか診断する基準となります。

  1. T:しこり(腫瘍)の大きさ
  2. N:リンパ節への転移状況
  3. M:他の臓器への転移があるかどうか(遠隔転移)

以上の3つの状況を総合的にみて分類されます。

それでは各項目の詳細を見てみましょう。

T:しこり(腫瘍)の大きさの分類基準

  • T0:触診でも分からずしこりが無い状態
  • T1:しこりの大きさが2cm以下
  • T2:しこりの大きさが2cmより大きく5cm以下
  • T3:しこりの大きさが5cmより大きい
  • T4:しこりの大きさに関係なく、胸壁に広がってしまっている、皮膚がむくんでいたりただれや炎症を起こしている状態

N:リンパ節への転移状況

  • N0:リンパ節への転移が無い状態
  • N1:乳がんがある乳房側のワキの下のリンパに転移している、触ると良く動く状態
  • N2:ワキの下リンパ節に移転しておりリンパ節が互いに癒着している、こちらは組織に固定しているので触っても動かない
  • N3:ワキの下のリンパ節、胸骨付近のリンパ節にも移転している状態

M:遠隔転移(他の臓器への転移があるかどうか)

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移がある

このようにしこりの大きさはどのくらいか、リンパ節や他の臓器への転移はあるのかどうかを基準に病期(ステージ)は決められています。

それではその各病期(ステージ)ごとの乳がんの症状を紹介したいと思います。
※日本乳癌学会の乳癌取扱い規約より。

病期ごとの症状

0期:非浸潤癌(ひしんじゅんがん)

乳がんのがん細胞が乳腺の中にとどまっている状態で、非浸潤がんといいます。まだ乳管の外まで広がっていないため転移もありませんし安心です。

国立がん研究センターのデータによると5年間の生存率も100%です。

Ⅰ期

先ほどのTNM分類で

  • T1:しこりの大きさが2cm以下
  • N0:リンパ節への転移が無い状態
  • M0:遠隔転移なし

の状態です。

Ⅱ期

Ⅱa期とⅡb期に分けられます。

IIa期

  • T1:しこりの大きさが2cm以下
  • N1:乳がんがある乳房側のワキの下のリンパに転移している、触ると良く動く状態
  • M0:遠隔転移なし
  • または

  • T2:しこりの大きさが2cmより大きく5cm以下
  • N0:リンパ節への転移が無い状態
  • M0:遠隔転移なし

IIb期

  • T2:しこりの大きさが2cmより大きく5cm以下
  • N1:乳がんがある乳房側のワキの下のリンパに転移している、触ると良く動く状態
  • M0:遠隔転移なし

III期

IIIa期、IIIb期、IIIc期の3種類に分けられます。

IIIa期

  • T0からT3
  • N2:ワキの下リンパ節に移転しておりリンパ節が互いに癒着している、こちらは組織に固定しているので触っても動かない
  • M0:遠隔転移なし
  • あるいは

  • T3:しこりの大きさが5cmより大きい
  • N1:乳がんがある乳房側のワキの下のリンパに転移している、触ると良く動く状態
  • M0:遠隔転移なし

IIIb期

  • T4:しこりの大きさにかかわらない
  • N0からN2
  • M0:遠隔転移なし

IIIc期

  • T0からT4
  • N3:ワキの下のリンパ節、胸骨付近のリンパ節にも移転している状態
  • M0:遠隔転移なし

IV期

  • M1:遠隔転移がある

まとめ

このように乳がんには病期(ステージ)という段階があり、その症状に応じて分類されます。

キャンディーズのメンバーでスーちゃんの愛称で親しまれていた田中好子さんが数年前に乳がんで亡くなられたというニュースがありましたね。

彼女の場合、当時36歳(19年前)の時に乳がんを発症し、治療を行ない元気に芸能活動されていました。ですが発症から19年経って亡くなくなられてしまいました。

彼女がどの病期(ステージ)でどのような治療を行ない、その後何が原因でそのような事態になったのか分かりませんが、きちんと医師と相談し自分の病状を把握する事が大切だと思います。

早期乳がんであればある程治療の負担も少ないですし、生存率も高くなります。そのためには普段からセルフチェックや定期検診に行く事は非常に重要と言えます。